けんたろうの勉強になりました。

日々成長し、人生を学んでゆきます。

アカシアのみんなと劇をやろう その1〜初日で脚本家をクビになりかけた話〜

 アカシア演劇指南塾というものがあり、僕はその4期生なのだが また再び集まり、劇をやろうと話になり。僕が脚本を担当し、今日が顔合わせの日だった。

 しかし、現在別の舞台に参加しているものなどなかなか人数が集まらず、雑談に花を咲かせた後、演出家の工藤という男の意向でみんながどんな演技をするのか見たいので何か台本を読んでみることになった。工藤という男は演出だけでなく、自分で脚本も書いているらしく、工藤の書いた脚本を皆で読むことになった。

 およそ15分程度の台本を皆で読み終えた後、役者たちの顔が変わった。

とても満足気な顔をし、一斉に工藤を褒め称える 「とても感動した」「私、この劇に出たい」などなど止まらぬ称賛の嵐。

 ん?本番は僕の書いた、台本をやるんだよね なんか流れ変わってない?

そう思ったが、ここで「ちょっと!ちょっと!」的におちゃらけやくにシフト変更もできるが、それでは威厳がなくなり、作家先生への道が絶たれてしまう。僕はだんまりを決め込み、嵐が過ぎ去るのを待つことにした。

 「早く次の脚本が読みたい」「でも読んじゃうと舞台で見る楽しみがなくなる」キャッキャとはしゃぐ役者たち。その様はまるでHUNTER×HUNTERの新刊が出た冨樫信者のよう。終わらない工藤のターン 待てど暮らせど来ない作家先生のターン 

 称賛されている中、僕は脳内であーこれは次から外されるなー 外されたらどうしようかなー ふみちゃんくらいはついて来てくれるしなー(現在他の舞台に出演中のためこの場にはいない役者)でも手伝ってくれそうな知り合いもいないし、お客さんも呼べないし、終わったなー

 とまだ起きてもいないのに想像力をネガティブな方向に最大限働かせる作家先生、さすが作家先生

 妄想にふける中、役者の1人である悠人が「俺脚本書いて見たど誰かの悪口ばっかりになっちゃんだよね」と話していた。どうやら話は役者が書いた脚本の話に変わったらしい、ようやく話に加われると思い口を開こうとするともう一人の役者である舞華が「もっと優しい気持ちで書きなよ、じゃないとこんなに人を感動するものは書けないよ」と再び褒める、まだやつのターンは終わってなかったのだ 撤退する元作家先生

 さらに舞華は続け、「感動するのもそうだけど、こんな面白いのも書けないでしょ」となんと僕が書いた台本を指したのだ。 えっ本当、今面白いって言った?と大事なことは聞き逃さない、帰って来た作家先生。頬を緩ませ「いやーこのまま誰にも褒められなったら、誰かに褒めてくれってお願いするところだったよ」とスタンスを忘れ息を吹き返す、大作家先生 その後すぐ部屋が使える時間が終了したこともあり、僕らは家に帰ることとなった。 

 あのまま彼女の言葉がなかったら、きっと打ちひしがれたまま帰路についたことだろう。 今こうして意気揚々とこのブログをかけているのも彼女のおかげだ。

 作家というのは面白いの一言でどこまでも行ける気になる、不思議な生き物だと、作家先生は思うよ。