けんたろうの勉強になりました。

日々成長し、人生を学んでゆきます。

先生の送別会を「帰りたい」と言って抜け出した話

 店内に入ると、大きなモニターにPVのようなものが流れている。どうやらここはカラオケもできるようだ。ドリンクの注文を取り、料理が並ぶ。が、その料理がどうもやる気を感じられないのだ。まずいのではない、やる気がないのだ。 それでは本日のスターティングオーダーを発表しよう。1番、明らかに冷凍食品を解凍したであろう、枝豆。2番、スーパーで大きな袋で大量に売られているチキンナゲット 3番 スーパーの冷凍食品売り場でよくいるタイプのフライドポテト(そしてちょっとしなっとなってる)4番もはや鉄板 冷凍食品を解凍たこ焼き

 本当にここは飲食店なのか どうして店長はこの仕事をしているのか なぜこの店が潰れないのか いくつもの疑問が残る。

 違う、ここはカラオケをする店なのだ。飲食店ではないのかも、と思うがカラオケの機種も明らかに古い。

 周りの人はあまり気にしていないのか、カラオケを歌い始める。言い忘れていたが、僕ら1年生だけでなく、2年生の方もいるので2年生の生徒が歌い始める。同じ学校と言っても結局は知らない人なので、知らない人の歌声を周りに合わせて掛け声などを言い、盛り上げる。歌が上手い人、クラスのひょうきん者が歌を歌い続け、それを聞き続ける僕。歌の音量も大きいため、周囲とこれといった話もできず。ただただ座り続け、僕はなぜ、こんなところにいるのだろう。さらにしなしなになったポテトを見つめふと考える。

 そしてふと気づくと、僕は左右両方の膝が完全にくっついている状態で、縮こまった状態で座っていたのだ。確かに狭い店内なので、みんなぎゅうぎゅうに座っているのかな。と思ったら、僕の両隣のクラスメイトが両足を大きく広げ、大股の状態となっていた。その時僕は確信した。僕の居場所はここじゃない。そう思ってからの決断は早かった。先生に「帰りたくなったのでお先に失礼します」と伝えると、先生は握手をし別れを告げてくれた。その後幹事にお礼を言い。レンジで温められた食べ物たちに別れを告げ、ビルを後にした。僕が帰ることに驚いた表情をしたものもいたが、すぐに忘れて楽しむことができるだろう。それだけ僕はそこで空気のような存在だったのだ。会費の3500円は惜しいが時間はもっと惜しい。

 

 一次会の途中で抜け出したので、時間に余裕はある。これから何をしよう、歩いて帰るのも悪くない。iPodであのお店の機種ではないであろう、ゴリゴリの電波ソングを聴き、少し大きめの声で口ずさむ。けど僕のことを機にするものはいない、そいうものだ。春になりきれない、冷たい夜風が僕にとっては心地よかった。